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疲れ

まだ、震災が始まってから1ヵ月もたっていないが、みんな疲れがたまっているのではないかと思う。

 

だって、東京にいて、直接被災したわけではないという人だって、考えてみれば、たくさんのことを経験している。

 

強く長い地震の揺れの恐怖、人によっては帰宅難民経験、大切な人と連絡が取れず安否を気遣うじりじりとした時間、津波など被災地の悲惨な状況を映像で繰り返し見ること、被災者や遺族の苦痛をテレビや新聞で知り心痛めること、原発事故に伴う不安や怒り、交通手段の不安定や混雑、余震、計画停電、食物や水の安全性への心配・・・・。

ざっとあげても、普通だと1年かかっても経験しないようなことを、まとめて私たちは経験している。

 

私たちは、この数週間に、たくさんのことを感じ、たくさんのことを考え、たくさんのことを勉強し、たくさんの決断を(決断をしないという決断も含めて)してきた。

これまで、東北の地理をこんなに熱心に勉強したことはあっただろうか。原子力や放射線について、こんなに知識を求めたことはあっただろうか。

直接被災をした人たちのことを考えると、「何もできていない」自分に苛立ちや無力感を感じるが、でも私たちはこの数週間、ほんとうにたくさんのことをしてきたのだ。

 

今、私たちは人間としての総合的知力を問われているのだと思う。でも、震災を乗り越えるには長い時間がかかる。

頭も心も、酷使には耐えられない。もちろん、総合的体力も必要だ。

ちょっと休んで、咲きはじめた花を慈しもう。深呼吸して、新緑の芽に希望を重ねよう。音楽に合わせて、身体を動かそう。友人と会って、おいしいものを食べよう。避難所生活を強いられている人たちに、ただ申し訳ないと思うのではなく、今そういうことができている「ありがたさ」を心から味わい、明日の糧にしよう。